世界と日本のものの見方の大きな違い

夏のヨーロッパ往復の飛行機で映画を
合計5本くらい観ましたが、その中でも
突出してインパクトが大きすぎたのが
オッペンハイマーの映画です。

私はこれをフランス語で観たのか
英語で観たのかもよくわかりませんが
とにかく日本語字幕なしで見たので
非常に難しいうえに、フラッシュバック
のように年月が急に移行するシーンが
山ほどあり、赤狩りのシーンも多すぎて
理解するのが大変でした。ですので
半分ちょっとくらいの理解力だったかも
しれませんが、それでもインパクトは
本当に大きく、旅行中にも時々
考えることがありました。

私がこれを観てまず思ったことは
日本はアメリカと戦争すべきでは
なかったということです。

こんな国と戦争したら負ける以外に
道がない。圧倒的な国力の差を
感じてしまいました。そんなことも
わからなかったのだろうか?と思って
しまいますが、猪瀬直樹さんの
敗戦についての本には、当時の
日本人でも特にインテリ層や
海外経験のある人は強く反対
していたと書かれていました。

でも多くの日本人は勝てると
思っていたわけです。

その後パリではオリンピックの
開会式が大雨の中始まりましたが
あれをみて国力の違いを感じた
人も多かったのではないかと
思います。あんな国と対等に
戦おうとしたら、無理に決まって
いるではないか・・・私は開会式を
観ながら、コロナ禍だったから
あったかなかったのかよく
わからないで終わった東京
オリンピックが、「コロナ禍だった
からね」いういい言い訳ができて
よかったな、と思ってしまいました。
もしまともに開催していたら
日本とフランスの開会式の違いはあまりに
衝撃的すぎたのではないでしょうか。

北京オリンピックの時は
中国すごいなぁ!!と思ったのを
今でも覚えていますが、日本人なので
東京オリンピックの開会式も
そこそこ観たとは思いますが
ほとんど記憶に残っていません。

私はイタリアでも圧倒的な経験を
しましたが、戦争というのは武力に
よるものの、結局は国力と国力の
総力戦であり、国力とは何か
というと単なる技術力だけではなく
文化力だったり、経済力だったり
国民全体の知性の高さだったりを
全部かけあわせたものだと思います。

少なくとも1940年代の日本と
アメリカでは、どう考えても
国力が違いました。

それなのによく本気で鬼畜米英とか
言ってたなぁ・・・と思うと
私は愕然としてしまい、本当に
竹槍でアメリカに向かっていったような
気がしてしまいます。

よくある終戦日の誓い的なものも
いいですが、”Japanese Firewall”
という日本語の壁、つまり
日本語だけで情報をとることに
よって世界との情報を遮断している
壁の恐ろしさに気づいてほしい
と強く思うようになりました。

当時勝てると思って戦争に
突き進んだ人たちは、主に
日本語だけで情報をとり、
日本は神国であり特別な国である!
と思っていた人たちだと思います。

今の日本にもかなり強く
そういった傾向があると思います。
スピリチュアル系の人の話では
昔聞いたのでは明石が世界の
中心だとか、最近のでは日本人
女性が世界で一番波動が高いとか・・・

私はえっ、何それ?
エビデンスあるの?
せめて比べたことある??

と言いたくなってしまいますが
私の本に書かれているようなかなり
しっかりした研究内容に限って
エビデンスを提示せよとか
言われるくせに、あなたの過去生は
フランス人とか、日本人女性は
世界で一番波動が高いというのは
誰もエビデンスを出せといわず
「へーそうなんだー!」と普通に
納得している人が多いことに
私は本当に驚いてしまいます。

私はオッペンハイマーを見た時に
ああ1944年ごろの、日本がさんざん
悲惨な状態だった時に、アメリカは
こんなにも豊かでかつ研究に
つぎ込めるお金があったのか
そして世界中のトップクラスの
研究者が頭を突き合わせて考える
場があったのか・・・というのに
驚きを隠せませんでした。

おそらくパリオリンピックも
世界で最高峰の人たちが頭を
突き合わせてアイデアを練り
そこにとんでもない金額のお金を
かけて、世界をあっといわせる
開会式をつくるに至ったのでしょう。

何が言いたいかというと多くの
ことにおいて、世界のレベルは
日本に比べて今でも圧倒的に
高いままであるということです。

日本でもレベルが高いものは
たくさんあります。一番はきっと
技術力なのだと思います。でも
技術は使う人あってはじめて
伸びるものであり、表現力が
なければせっかくの技術が活きる
こともありません。零戦がつくれても
パイロットを殺してしまう神風
特攻隊という使い方でよかったのか
そんな方法は竹槍で軍艦に立ち向かう
ものではなかったのか・・・

どう考えても負けであるくらい
圧倒的な差があるものに
精神力で立ち向かおうとしたのが
日本の第二次世界大戦だったと
思います。そこに至ったのは世界の
レベルの高さをきちんと認識せず
日本だけはすごいに違いない!
という勝手な思い込みを強めて
突き進んでしまった結果に
あると思います。

私は世界と日本のレベルの差を
知るのには実際に現地に行くことに
加え、語学力が本当に大切だと
思います。たとえば私は今回
エールフランス航空でしたが
私は英語とフランス語がわかるので
ほぼどんな映画も見れましたが
日本語しかわからない場合
日本語字幕のある映画など
圧倒的に少数で、選択肢が
大幅に限られます。エールフランスは
フランスの会社であり、JALのように
日本スタンダードではなく
グローバルスタンダードな航空
会社です。

日本人の多くは日本スタンダードに
しか慣れていないので、エール
フランスで映画を見ようとしたら
なんで日本語がないんだ!!と
怒るかもしれません。でもこれが
世界のスタンダードであり
日本語に訳される情報なんて
そんなわずかしかないのです。
これが世界の現実です。
日本語なんて超マイナー言語だからです。

そんな僅かなものだけで世界を
理解しようとしたら、当時の
軍部や日本人のようにかなり
曲がったものの見方になって
しまいます。それは世界中を
旅して比較したこともないのに
日本人女性が世界で一番波動が
高いとか優れているとかいうような
ものに近いと思います。

最近の日本にはこうした傾向が
随分と高いように思いますが
私は映画や実際ヨーロッパに
行って思いましたが、まだまだ
叶わないような圧倒的な差があります。
そしてそこに立ち向かおうとすると
大変な困難が待ち受けています。

だから多くの日本人留学生は
大学時代に名門大学に留学して
挫折して帰ってくるのだと思います。
その差は100年経ってもあまり
埋まっていないのです。

私のこの20年はその差を少しでも
埋めたい、ヨーロッパ人に負けたく
ないという気持ちでさまざまなことを
学んできました。その甲斐あってか
今回の滞在では、身体の不調は多々
ありましたが、心理的に欧米人を
怖いとか、圧倒されてしまうとか
彼らに比べて私は劣ってると思って
ビクビクするようなことが
全くありませんでした。

これは皆さんには普通に思えるかも
しれませんが、私はつい4年くらい
前まではかなりドキドキして
いたので、私にとってはものすごい
成長であり、やっと対等に思える
ようになったのかな、と思います。
つまりここに至るまでに20年も
かかったわけです。

私は別に欧米を絶賛したい訳でも
ありませんし、子供たちが折り紙を
する手つきを見ながらあぁ日本人って
本当に細かくて器用なんだなと
実感しましたし、そのおかげで
技術大国になったんだと思いました。
また和食の繊細さも本当に
素晴らしいと思っています。
着物だってシャネルスーツに
負けない美しさと迫力があります。
でも私が気づいたことは私自身の
体験を重ねることで気づいたものであり
誰かの受け売りとか、日本は神の国だ
みたいにいっているわけではありません。

日本には確かに美しいものや
美しい自然が豊かにありますが
日本だけが正しい!!とか
日本は世界一なんとかだ、と
ほとんど思い込みで断言するのは
危険なのではと思っています。

私が学んだパリ政治学院という
学校は国際政治の外交官や官僚を
育てるエリート養成学校でしたが
当時まだ頭がお花畑だった私は
ほかの日本人学生同様に民主党が
勝てば日本は変わると無邪気に
信じ、世界は良くなると思って
いました。ところがこの学校で
教えられたことといえば、
理想と現実は相反する概念である
ということでした。

私はよくこんなことを20歳の
学生に言うなぁ、なんて学校なんだ
と思っていましたが、この学校の
有り難みを知ったのは35歳を過ぎた
ころからでした。

つまり、世界を冷徹に見てみなさい。
世界は戦争で満ちている。
その現実を直視しなさい。

その上でどう振る舞うか
それを学ぶのがこの学校だったのです。
そしてそれがフランスの外交術です。

まずは現実を冷徹に直視すること。
日本人はこれをすることを嫌い
理想のままに突進しがちです。
(これは原発の対策でも顕著な差でした)

でもオリンピック選手が世界で勝ったのは
もちろん現実を冷徹に見てその上で
コーチとともに、勝つための
戦略を練って練習してきたからです。

混沌とする世界の中で
どうすれば自分のコマを
進めることができるのか?
欧米の考え方にはまだまだ
学ぶところがある気がします。

3月後半からは世界を視野に入れて
生きたい人のための国際教養
講座を開講する予定です。
外国の現実は日本にいる時の想像や
妄想よりもよっぽど厳しいですが、自分の
理想を少しでも現実に近づけ
後で痛い目に遭わないでいられるように
先に学んでみませんか?
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